知れば役に立つ!信用保証協会について徹底解説
コロナ危機を乗り越えるために、ぜひとも知ってほしい資金調達の方法として信用保証協会があります。銀行に全部おまかせしていて社長さん本人はその存在を知らないこともあったりするので紹介させていただければと思い、書かせていただきます。
目次
信用保証協会とは
信用保証協会法に基づき、大企業に比べて担保力や信用力が劣る中小企業や創業者等の資金調達の円滑化を図ることを目的として設立された公的機関であり、全国に51か所ほどあります。
信用保証協会の利用するには
各信用保証協会の管轄区域内で事業している、またはこれから事業をする予定である必要があります。
法人の場合は、本店所在地でなくても、支店や営業所がその信用保証協会の管轄区域内であれば利用することができ、個人事業主の場合には、事業主の住居地の信用保証協会を利用することができます。
一般的には、銀行や信用金庫に融資を申し込むと、銀行が信用保証協会の利用に必要な申込書を用意し、保証申込みを行ってくれますが、直接当人が信用保証協会に申し込むこともできます。
実際に信用保証協会を利用できる会社とは
実際に信用保証協会を利用するには、資本金、常時使用する従業員の数などk行規模の制限があります。
また、事業経営を目的とした資金を対象としているため、生活費など事業外の目的にためには利用することはできません。
業種 | 従業員数 | 資本金 |
小売・飲食業 | 50人以下 | 5千万円以下 |
サービス業 | 100人以下 | 5千万円以下 |
情報処理業 | 300人以下 | 3億円以下 |
旅館業 | 200人以下 | 5千万円以下 |
医業目的法人 | 300人以下 | |
製造業(以下含む)
(建設・運送・不動産) |
300人以下 | 3億円以下 |
ゴム製品製造業
(自動車・タイヤ・工業ベルト等は除く) |
900人以下 | 3億円以下 |
卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
上記の表に該当する企業は信用保証協会を利用することができます。
例外として、一部の金融業と、農林漁業は対象外となります。
信用保証協会の保証限度額は
個人・法人の保証限度額
普通保証・・・2億円
無担保保証・・・8000万円※
※無担保無保証人の保証枠として1250万円
保証限度額・・・2億8000万円
組合の保証限度額
普通保証・・・4億円
無担保保証・・・8000万円
※無担保無保証人の保証枠として1250万円
保証限度額・・・4億8000万円
保証限度額は1企業を基準としたものであるため、支店を持つ会社などでは、2つの信用保証協会を利用している場合も考えられますが、その場合は、2つの信用保証協会の利用額の合計が2億8000万円を超えることはできません。
また、国の施策による特別な保証枠(セーフティーネット保証等)として2億円、さらに無担保保証枠として8000万円の保証を受けることができます。
信用保証協会に支払う保証料
信用保証料は、貸付金額、保証料率、保証期間、分割係数によって定められます。
信用保証料=貸付金額×保証料率×保証期間(月数)/12×分割係数
上記の保証料率について、責任共有制度の対象となる保証か否かで異なり、決算内容や利用残高等の経営状況等により9区分に分かれています。
また、担保の有無や中小企業の会計に関する指針の適用状況を確認できる場合には割引される場合もあり、セーフティーネット保証等の一部の保証では、特別料率が適用される場合もあります。
責任共有制度とは
平成19年10月1日に導入された責任共有制度は、一部制度除外となる保証制度を除き、融資金額80%は、信用保証協会の保証とし、残りの20%は金融機関がリスク負担することとされている制度です。
責任共有制度の対象とならない保証制度とは
対象外となっているものとしては、以下のものがあります。
- セーフティーネット保証
- 災害関係保証
- 創業関連保証
- 特別小口保険に係る保証
- 事業再生保証
- 小口零細企業保証
- 求償権消滅保証
- 中堅企業特別保証
- 東日本大震災復興緊急保証
- 経営力強化保証制度
- 事業再生計画実施関連保証制度
信用保証協会の融資制度
融資制度の種類
一般保証の概要
資金の使途:運転資金及び設備資金
対象者:管轄区域内の中小企業
保証の限度額:担保ある場合・・・2億円
担保ない場合・・・8000万円
保証期間:運転資金・・・7年以内
設備資金・・・10年以内
利率:金融機関所定の利率
保証人の有無:法人の場合、代表者が連帯保証人
個人の場合、不要
担保の有無:無担保残高が8000万円超えている場合は必要
小口零細企業保証の概要
資金の使途:運転資金・設備資金
対象者:卸・小売・サービス業・・・従業員数5人以下
製造業・・・従業員数20人以下
保証の限度額:1250万円※
保証期間:10年以内
利率:金融機関所定の利率
保証人の有無:法人の場合、代表者が連帯保証人
個人の場合、不要
担保の有無:原則、無担保
※他の信用保証協会の融資を受けている場合は、それも合わせて1250万円以内でなければ利用できません。
季節資金特別保証の概要
資金の使途:季節ごとの運転資金
対象者:個人の場合・・・業歴3年以上かつ直近の決算で所得金額がある者
法人の場合・・・業歴3年以上かつ計上利益を計上していること
保証の限度額:1000万円
保証期間:6か月以内
利率:金融機関所定の利率
保証人の有無:法人の場合、代表者が連帯保証人
個人の場合、不要
担保の有無:原則、無担保
長期経営資金保証の概要
資金の使途:運転資金・設備資金
対象者:以下のいずれかに該当する中小企業
1、業歴3年以上で申込金融機関との与信取引が1年以上直近2年の決算で債務超過でなく、利益を計上している企業
2業歴5年以上で申込金融機関との与信取引が1年以上あり、直近2年の決算で繰越欠損がなく、利益を計上している企業
3前各号に準ずるもので債務超過でなく今期利益計上見込みである企業※
保証の限度額:3000万円~2億円以内
保証期間:運転資金・・・5年~15年以内
設備資金・・・5年~20年以内
利率:金融機関所定の利率
保証人の有無:法人の場合、代表者が連帯保証人
個人の場合、不要
担保の有無:不動産の担保が必要
経営力強化保証の概要
資金の使途:運転資金・設備資金
対象者:金融機関と認定経営革新等支援機関の支援を受けている中小企業や組 合
保証の限度額:2億8000万円
無担保なら8000万円
保証期間:運転資金・・・5年以内
設備資金・・・7年以内
利率:金融機関所定の利率
保証人の有無:法人の場合、代表者が連帯保証人
個人の場合、不要
担保の有無:必要に応じて要求
当座貸越根保証の概要
当座貸越根保証は、以下の3種類があります。
- 無担保当座貸越根保証
- 貸付専用型
- 事業者カードローン
1.無担保当座貸越根保証の概要
資金の使途:運転資金・設備資金
対象者:以下の要件を満たす中小企業
(個人事業者・組合は含まれないことに注意)
1、業歴3年以上で申込金融機関との与信取引が1年以上ある企業
2、直近の決算で、自己資本率15%以上でなおかつ売上高が1億以上さらにインタレスト・カバレッジ・レーシオが1,0倍以上である企業
保証の限度額:100万円~3000万円以内
保証期間:2年以内
利率:金融機関所定の利率
保証人の有無:法人の代表者が連帯保証人
担保の有無:不要
2.貸付専用型
資金の使途:運転資金・設備資金
対象者:同一事業3年以上で2期以上の申告(決算)を行っており、申込金融機関と6か月以上の与信取引がある中小企業及び組合で次のいずれかの要件を満たすもの
個人について
- 保証申し込み直前期の決算における中小企業信用リスク情報データベースを活用した信用保証協会によるスコアリングが基準以内
- 確定申告が青色申告であり、保証申込直前期の決算において申告所得が300万円以上を計上し、自己名義の不動産をもっている又は、申告所得が1000万円以上を計上し、不動産等物的担保提供があること
法人について
保証申込直前期の決算における中小企業信用リスク情報データーベースを活用した信用保証協会によるスコアリングが基準以内であること
保証の限度額:100万円~2億8000万円
保証期間:1年~2年
利率:金融機関所定の利率
保証人の有無:法人の場合、代表者が連帯保証人
個人の場合、不要
組合の場合、代表理事が連帯保証人
担保の有無:5000万円超の場合には必要
3.事業者カードローンの概要
資金の使途:運転資金・設備資金
対象者:貸付専用型とほぼ同様
個人の2のみ違うため記載
②確定申告が青色申告であり、保証申込直前期の決算において申告所得を計上し、かつ自己名義の不動産を所有していること
保証の限度額:100万円~2000万円
保証期間1年~2年
利率:金融機関所定の利率
保証人の有無:貸付専用型と同様
担保の有無:不要
借換保証の概要
資金の使途:運転資金・設備資金
対象者:次の要件を満たす企業または組合
- 保証申込時点に保証付借入金の残高があること
- 適切な事業計画を有していること
- 経営安定保証関連保証を利用する場合は、信用保険法第2条第4項各号の市区町村長の認定書があること
保証の限度額:担保がある場合、2億円
担保がない場合、8000万円
保証期間:10年以内
利率:金融機関所定の利率
保証人の有無:法人の場合、代表者が連帯保証人
個人の場合、不要
担保の有無:借換保証を行う場合の既存の保証と要件は同様。
借換保証(中小企業金融安定化特別保証制度利用者の場合)の概要
資金の使途:運転資金、設備資金
対象者:次の要件を満たす中小企業及び組合
- 保証申込時点において、中小企業金融安定化特別保証制度の既存借入金の残高があること
- 経営安定関連保証(セーフティネット保証)を利用する場合は、適切な事業計画を有していること
- 経営安定保証(セーフティーネット保証)を利用する場合は、信用保険法第2条第4項各号の市区町村長の認定書を有すること
保証の限度額:上記①の借入金残高
保証期間:10年以内
利率:金融機関所定の利率
保証人の有無:法人の場合、代表者が連帯保証人
個人の場合、不要
担保の有無:借換を行う既存の保証条件と同じ
経営者保証ガイドライン対応保証の概要
資金の使途:運転資金・設備資金
対象者:次の要件を満たす中小企業
- 法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されていること
- 法人と経営者の間の資金のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えないこ と
- 法人から適時適切に財務情報等が提供されており、本制度による保証付融資を実行後も提供すること
- 法人のみの資産・収益力で借入返済が可能であると判断し得るものとして、次の「無担保無保証人要件」または「有担保務保証人要件」のいずれかに該当すること
無担保無保証人要件
以下の①と、②か③の要件を満たすこと
- 自己資本比率が20%以上
- 使用総資本事業利益率が10%以上
- インタレスト・カバレッジ・レ―シオが2倍以上であること
有担保無保証人要件
以下の双方の要件を満たすこと
- 上記の無担保無保証人要件①から③までのいずれか1項目以上を満たすこと
- 法人及び経営者本人等の所有する不動産担保等にて保全の充足が図られていること
保証の限度額:2億8000万円
保証期間:運転資金・・・3年以内
設備資金・・・5年以内
利率:金融機関所定の利率
保証人の有無:不要
担保の有無:原則、借換を行う既存の保証要件と同じ
創業関連保証の概要
資金の使途:運転資金・設備資金
対象者:①から③のいずれかに該当する者
- 事業を営んでいない個人で創業しようとする具体的な計画を有するもの
- 創業した日から5年未満である中小企業者または組合
- 分社化しようとする会社または分社化により設立された日から5年未満の会社
保証の限度額:2500万円
保証期間:運転資金・・・7年以内
設備資金・・・10年以内
利率:責任共有利率・・・固定金利1,9%~(借入期間による)
変動金利短プラ+0,7%以内
保証人の有無:法人の場合、代表者が連帯保証人
個人の場合、不要
担保の有無:不要
セーフティーネット保証
セーフティーネット保証については、別の記事にて詳細解説
まとめ
資金をうまくまわしてなんとかこのコロナ危機を皆さんが乗り切っていけますことを心より願います。