これでわかる!帰化許可申請の概要を詳細解説

人手不足のこの時代に、外国人の方の需要が増え、在留資格だけでなく、日本の国籍を取得したいという外国人の方もこれから増えていくのではないでしょうか。
なので、今回は、
について解説していきたいと思います。
※当事務所の帰化業務案内はこちら
1.そもそも国籍とは|永住との違いは?
(1)国籍の意義と機能、問題点
国籍の意義について
国籍は、特定の国家と人との法的なつながりであり、人がその国家の構成員である資格又は地位を意味します。
その国家の国籍を有する者は自国国民、有しない者は外国国民になります。
国籍の機能は何か
憲法のすべての条項が適用されます。
参政権、公職就任権
出入国・居住権
社会保障、漁業・鉱業権
国際私法において国籍は準拠法決定のための連結点としての機能を有します。
国籍法の問題点
国籍法は原則として①国籍唯一の原則②国内管轄の原則③国籍自由の原則を理想としています。
しかし、各国法律として制定するものとされているため(国家の専権事項)、国家間で抵触が生じてしまうなどの問題点があります。
(2)永住との違いは
帰化 | 永住 | |
国籍の取得 | 有 | 無 |
選挙権 | 有 | 無 |
就労制限 | 無 | 有 |
申請先 | 法務局 | 入国管理局 |
取り消される場合 | 無 | 一定の場合※ |
※犯罪などで取り消される場合あります。
※また、再入国許可を取らずに1年以上国外にいるような場合取り消される場合があります。
2.帰化は3種類ある?|条件は何か
帰化は3種類
普通帰化
普通帰化の条件
- 住所要件:日本に5年以上継続して居住していること
- 能力要件:20歳以上で法律上の行為能力を有していること(成年擬制は不適用)、日本語力が小学生くらいの実力を有すること
- 素行条件:犯罪歴の有無、納税状況などで総合的に判断
- 生計条件:経済的に安定しているかどうか(生計を一つにする親族単位で判断)
- 重国籍条件:無国籍か、帰化することで今までの国籍を失うこと
- 不法団体条件(憲法遵守条件):反社会的勢力への加入の有無
簡易帰化
簡易帰化の要件に該当することで普通帰化の条件が緩和される。
簡易帰化要件 | 緩和される条件 |
日本国民であった者の子で3年以上日本に居住 |
住所条件 |
日本で出生、3年以上日本に居住、又は父母が日本で出生 | |
10年以上日本で居所※1 | |
日本人配偶者で3年以上日本に居住、かつ現に住所 | 住所条件
能力条件 |
日本人配偶者で、婚姻から3年経過、かつ1年以上日本に住所 | |
日本国民の子で日本で住所※2 | 住所条件
能力条件 生計条件 |
日本国民の養子で1年以上日本住所、かつ縁組時に本国法で未成年 | |
日本国籍喪失者で日本に住所 | |
日本で生まれ、かつ出生時から無国籍で3年以上日本に住所 |
※1帰化許可申請時には住所及び適法な在留資格が必要
※2父母が死亡していれば、死亡時に日本国民であった場合も含まれる。
大帰化
大帰化とは国籍法9条にある「日本に特別の功労のある外国人については、国会の承認を得て、帰化を許可することができる」に基づき、普通帰化の条件を満たさなくても帰化することができるものである。
ただし、素行条件・重国籍条件・憲法遵守条件は緩和されません。
また、帰化許可申請は必要であり、帰化の効力は官報に告示された日が生じることになります。
3.手続きの方法と申請に必要な書類
(1)申請資格と手続き
申請資格
15歳未満のものは法定代理人が申請します。
成年後見人の場合は被後見人の本国法により定められた法定代理人が申請人となります。
申請手続き
申請は申請者の住所地を管轄する法務局又は地方法務局へ申請者全員が直接出頭して行います。(事前に予約が必要)
申請は原則世帯を同一にする家族を中心にして申請します。
(2)必要書類一覧
①帰化許可申請書
②親族の概要を記載した書面
③履歴書:卒業証書、在学証明書、技能及び資格証明書、運転免許証写し(表・裏)
④帰化の動機書:自筆要。特別永住者は提出不要。
⑤国籍身分を証する書面
- 本国の戸籍謄本、家族関係登録簿事項別証明書
- 国籍証明書
- 出生証明書
- 婚姻証明書(本人・父母)
- 親族関係証明書
- その他(父母の死亡証明書等)
- パスポート・渡航証明書(写し)
- <出生、死亡、婚姻、離婚>届書(日本での戸籍届書の記載事項証明書)
- その他(養子縁組・認知届・親権を証する書面)
- 日本の戸籍謄本、除籍謄本
⑥国籍喪失等証明書(指示があった場合)
⑦住所証明書:申請者、同居者全員分。
- 住民票
- 外国人登録原票記載事項証明書
⑧宣誓書
⑨生計の概要を記載した書面
- 在勤及び給与証明書
- 土地・建物登記事項証明書
- 預貯金現在高証明書・預貯金通帳の写し
- 賃貸契約書の写し
⑩事業の概要を記載した書面
- 会社等法人の登記事項証明書
- 営業許可書・免許書類の写し
⑪納税証明書
a.個人
源泉徴収票、納付書の写し、確定申告書、所得税納税証明書、事業税、消費税、都道府県・市区町村民税、非課税証明書
b.法人
確定申告書(控え、写し)、決算書・貸借対照表、法人税納税証明書、法人事業税、源泉徴収簿写しor納付書写し、消費税、法人都道府県民税、法人市区町村民税
⑫運転記録証明書(過去5年間)
- 運転免許経歴証明書(失効、取消された者)
⑬自宅、勤務先、事業所付近の略図
⑭出入国記録
⑮その他
申請書類作成注意事項
- 提出は原則2通必要。1通を原本、他の1通は写しでも可。
- 動機書は15歳未満を除き、本人が自分で書く必要があります。その他の書類は代筆でも可能。特別永住者については、帰化の動機書は提出不要。
- 申請書等の書類の署名は法務局の担当官の前で本人が自署する必要があります。
- 外国語の文書は翻訳者(制限なし)の氏名、住所、翻訳年月日を記載した翻訳文を付ける。
韓国の帰化に必要な家族関係登録簿事項別証明書とは
(1)韓国の戸籍の推移
2008年1月1日より身分公示制度が戸籍制度から個人別登録制度である「家族関係登録制度」に変わったことで、帰化申請、相続、入管手続等に必要な身分事項証明書が「戸籍謄本」から「家族関係登録簿事項別証明書」に変わりました。
(2)家族関係登録簿事項別証明書の種類
- 基本証明書:本人の出生、死亡、改名等の事項(婚姻、縁組は除く)
- 家族関係証明書:父母、配偶者、子供までの親族関係(3代)
- 婚姻関係証明書:婚姻と離婚に関する事項
- 入養関係証明書:養子縁組、離縁に関する事項
- 親入養関係証明書:特別養子縁組、離縁に関する事項(成人後の本人のみ交付請求が可能)
帰化申請には①から⑤まで添付する必要があります。
また2007年12月31日までの戸籍簿については、除籍簿にかわっており、除籍謄本として発行されます。
例:在日3世の方の帰化申請に必要な家族関係登録簿事項別証明書は何か
- 申請者本人の家族関係登録簿事項別証明書1から5すべて
- 父母の家族関係登録簿事項別証明書は2と3
- 父戸主又は祖父戸主の除籍謄本※父母の婚姻事項記載の全除籍謄本
①~③の家族関係登録簿事項別証明書、除籍謄本が必要になります。
まとめ
帰化申請は集める書類の量が多く、外国の言語で書かれた書類を扱うことからなかなか行政書士などのプロに頼まないとハードルが高いと感じられるかと思います。
法務局に相談することで何をすべきか何が必要かも判明しますので、帰化をしたいと思われている方は法務局に相談されてみてはいかがでしょうか。