鳥羽市・志摩市の景観条例について要点解説―地域の風景を守るしくみ

景観
目次

1.鳥羽市の景観条例

(1)景観計画と区域区分

鳥羽市では、「鳥羽市景観計画」に基づき、市全域を景観計画区域としています。その中で、地域ごとの特性に応じた7つの「景観ゾーン」と、特に保全が必要な「眺望保全区域(伊勢志摩スカイライン・パールロード等)」が設定されています。

景観ゾーンの例:

  • 山地の景観ゾーン
  • 海岸と島の景観ゾーン
  • みなとまち(沿道)ゾーン
  • 国道42号・167号沿道ゾーン
  • パールロード沿道ゾーン など

これらのゾーンでは、建築物や工作物、看板などについて景観に配慮した基準が定められています。

(2)届出が必要な行為

以下の行為を行う場合、原則として事前協議書と届出書の提出が必要です。

  1. 建築物の新築・増改築・外観変更(床面積10㎡超)
  2. 工作物(高さ10m超または築造面積500㎡超)
  3. 開発行為(都市計画法に該当するもの)
  4. 土地の形質変更(面積3,000㎡超)
  5. 物件の堆積(面積3,000㎡超)

なお、国立公園の地域における行為は、自然公園法に基づく手続きが必要となります。

(3)届出の除外対象

  • 小規模な増築・改築(床面積10㎡以下など)
  • 外観を大きく変えない修繕や模様替え
  • 他法令によって許可・認可を受けた行為(森林法、自然公園法など)

2.志摩市の景観条例

(1)景観計画区域と全域適用

志摩市では、市全域が景観計画区域に指定されており、その中で、地域ごとの特性に応じた「景観ゾーン」と、特に保全が必要な「眺望保全区域(横山展望台)」が設定されており、自然と人の暮らしが調和する景観の保全・創出が図られています。

景観ゾーンの例:

  • 山地・里山ゾーン
  • 里海・熊野灘沿岸ゾーン
  • 市街地ゾーン
  • 沿道ゾーン(内陸型)
  • 沿道ゾーン(沿岸型) 
  • 横山展望台眺望保全地区
  • 桐垣展望台眺望保全地区

これらのゾーンでは、建築物や工作物、看板などについて景観に配慮した基準が定められています

(2)届出が必要な行為

以下のような行為が対象となり、事前協議と届出の両方が必要です。

  1. 建築物:高さ13m超、または建築面積1,000㎡超
  2. 工作物
    • 高さ5m超(煙突、鉄塔、擁壁、門柱など)
    • 面積500㎡超(倉庫、工場、車庫、観覧席など)
  3. 開発行為・土地の形質変更:面積3,000㎡超
  4. 土石採取・鉱物掘採:面積3,000㎡超
  5. 物件の堆積:面積3,000㎡超または高さ5m超

対象となる行為を予定している場合は、早い段階で市に相談し、協議に入る必要があります。


3.手続きの流れ(鳥羽市・志摩市共通)

景観条例に基づく手続きは、「事前協議」→「届出」の2段階で行われます。計画内容によっては調整や修正が必要になるため、余裕を持ったスケジュールでの対応が重要です。

(1)事前協議書の提出

まず、計画行為を行おうとする前に、事前協議書を市に提出します。この段階で、景観への影響や基準適合の可否について市と協議を行います。提出書類には、位置図、配置図、立面図、色彩計画などが含まれます。

(2) 協議終了の連絡

協議の結果、市から助言や修正依頼を受けることがあります。問題がなければ「届出」を出すよう連絡がいただけます。

(3)届出書の提出

協議が終了した後に、景観条例届出書を提出します。市から通知があれば、行為に着手することが可能となります。


まとめ

鳥羽市・志摩市では、それぞれの自然や文化に根差した景観形成を目指し、独自の景観条例を運用しています。条例に基づく手続きは、単なる届出ではなく、計画初期から市との協議を重ねることが求められます。

建築や開発などの行為を計画する際は、必ず景観条例の該当性を確認し、事前相談→届出の流れを遵守することが重要です。地域の景観は市民一人ひとりの意識と行動で守られていくものです。条例を正しく理解し、美しいまちづくりに積極的に関わっていきましょう。

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